減らぬ「ショッピング枠現金化」業者 デメリット多くカード停止などのリスクも

商品を購入する際に現金を使わず、クレジットで支払った経験は大方の社会人なら多かれ少なかれ経験があるはずだ。利用者の買い物代金をカード会社が一旦立て替え、後日手数料などを上乗せした金額を利用者に請求し、クレジット会社にまとめて支払う仕組みになっている。ところが最近このシステムを悪用する情報が出回り、各クレジット会社やクレジット協会が注意を呼びかけている。

クレジットカードには2つの機能がある。1つがショッピング枠と言われるもので、普段買い物をする際の代金を後払いにするもので、2つはキャッシング枠と言われ、これは限度額の範囲内で現金を引き出すことができる機能だ。最近、インターネットや新聞広告などで「ショッピング枠を現金化する」となどする広告が増えている。現金化業者がうたっているのは利用者に対し高額商品の購入を迫り、利用者がその商品を購入することによって一定額の現金を利用者に振り込むというものだが、これらの行為は各クレジット会社の利用約款に反する物で、クレジット会社に発覚した場合はカード利用停止や残金の一括返済、強制退会などの処分を受けることになる。またこれらの業者を使ったところで、手数料などを大幅に差し引かれることになるため、実際に受け取れる金額もほんの僅かなものにしかならない。

図1:Money-Shareとうたった現金化事業者比較サイト=2018年11月14日

日本クレジット協会は2010年4月に「クレジットカードのショッピング枠の現金化」排除に向けた総合的対策」をまとめた。それによると▼消費者への広報・啓発活動の実施▼警告文の送付や繁華街等の立て看板撤去の要請▼加盟店調査の強化▼現金化に関する苦情受付▼などといった対策をまとめている。にも関わらずこうした事業者が蔓延っているのは、消費者への周知が殆ど進んでいないことを意味しているだろう。

図2:24キャッシュ(東京都港区)のウェブサイト、電話問い合わせ対応と書いているが電話番号は掲載されていない=2018年11月14日

最近ではインターネットを利用した現金化業者が現れている。2018年11月時点の検索エンジンで「ショッピング枠 現金化」と検索すると最上位に「ショッピング枠現金化比較」というサイトが現れる(図1)。そのサイトを開くと複数の換金事業者の一覧が表示され、口コミ形式で順位が表示される。一見すると善意のサイトにも見えるが、この中の1位となっている「24キャッシュ」=東京都港区海岸1の2の3 =なる業者のページを見てみる(図2)。サイト内では「最短10分で振り込み完了」などの煽り文句が目立ち、申し込み欄が強調されているものの、肝心の会社概要ページ(図3)を開くと物品販売や金融業に関する法律の届出番号も見当たらず、またサイト上では電話受付をうたっているにものに電話番号の掲載はない。同社の掲載住所を調べたところ、港区内のバーチャルオフィス事業者が表示されたため、実際に問い合わせたところ「そのような事業者は入居していない」ということだった。その他の事業者についても過剰に称賛する口コミこそ多いものの、実際には同じように「電話番号掲載なし」「貸金業届出なし」「住所の実在なし、もしくはバーチャルオフィス」の業者がほとんどであった。また、これらの事業者が使用しているドメイン登録情報を調べると、全ての情報が登録事業者が代理で登録している情報しかない。

図3:24キャッシュのウェブサイトに掲載されている会社概要。電話番号や屋号などは一切掲載されていない=2018年11月14日

これらの事業者はいずれも出資法違反であるとされている。警視庁は2011年8月、出資法違反容疑で東京都板橋区仲宿、飲食店経営橋本幸治=当時(41)=を逮捕。その後2017年11月にもフリマアプリを使った現金化を目的に商品を出品していた男女ら4人を同法違反で逮捕している。これらのことから考えると、現金化事業者が架空の住所を掲載したり、登録者情報を非公開としているのは捜査当局の摘発を逃れるためということが理由の一つとして考えられる。

違法事業者を使うことによって利用者にも大きなリスクがある。先述したように手数料だけが大幅に差し引かれ、手元には殆ど現金が残らない場合や、金銭が振り込まれることなく連絡が取れなくなってしまうことも多い。2010年付の国民生活センターの調べによると、2009年に現金化事業者を利用した男女ら5人がトラブルとなった事例が掲載されており、いずれもクレジットカードで商品を購入すれば金を振り込むなどとした業者に申し込み商品を買ったが、話と違う低い買取額でしか買い取ってもらえなかった上、カードの利用上限に達してしまった事例、10万円の商品を買えば7万円のキャッシュバックが受けられるとして申し込んだが、送られてきたのは値打ちのない商品だった上に、手元に現金がないためクレジット会社に返済ができないといったトラブルの事例が掲載されている。

現状、事業者が出資法違反で摘発されることはあるものの、インターネット時代に合った法整備は行われていないのが実情で、これらの事業者は検索エンジンで上位に表示されることが多く、今のところ消費者側が自衛しなければならない状況である。今後はインターネットの広告規制や現金化取り締まりの法制化も含めた消費者保護の新しい枠組みを作らなければならないだろう。

コメントはこちらから

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。また、* が付いている欄は必須項目となります。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

ページの先頭